三人の騎士達

三人の騎士達が、野原のまん中までやつてきたときに、とつぷりと日が暮れてしまひました。 黒い騎士は、こんなに日が暮れては路《みち》がわからないから野宿をしようと、二人の騎士にむかつて言ひました。 ところが後の二人の白い騎士と、青い騎士とは、明るいうちは、それは強さうなことを言つてをりましたが、とつぷりと日がくれてしまつては、急に怖気《おぢけ》がついて一歩も馬の足をすゝめることができなくなりました。 それにこんな野原のまんなかに野宿などをしては、さびしくて堪らないと考へましたので、黒い騎士に反対をしてとにかく、行けるところまで馬を進めようと言ひました。 しかたなく黒い騎士は、二人の言ふ通りに、夜どほし歩くことにいたしました。 白い騎士と、青い騎士は、頭上をとぶ名も知れない怪鳥の叫び声にも、しまひにはふるへる程の臆病の本性を現はしてしまひました。 黒い騎士は、臆病な、二人を追ひ立てるやうにはげまし、はげまし路を急いでまゐりますと、ふいに三人の馬の鼻先で、それは大きな法螺の貝の響がいたしましたので、白い騎士と青い騎士とは、驚ろいてきやつと言ふなり棒立ちになつた馬から落つこちましたが、大胆な黒い騎士はさつそく、半弓をもの音のあたりに、ひやうと射放しました。しかし不思議な物音はそれきりきこえませんでした。 二人の騎士はます/\怖気がついて、果ては一歩もあるくことができなくなりました。 ところが、ちやうど幸ひなことには、はるか遠くに人家のあかりがひとつ見えましたので、三人はたいへん元気づいて馬をすゝめました。

[#4字下げ]二[#「二」は中見出し]広い野原のまんなかに建つた、大きなお寺の、高い窓から、光がもれてくるのでありましたが、そのお寺は久しい間人が住んでゐなかつたと見え、壁は崩れかけて、いかにも古めかしい建物でありました。 たどりついた三人の騎士は、とんとんと朽ちかけた扉をたゝきましたが、なかゝらは何の返事もありませんでした。 短気な黒い騎士は、力いつぱい扉をひきましたが、扉はなんの戸締りもなかつたので、それは苦もなくやす/\とひらかれました。

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