三人前の料理

そこはつゞいてまた不思議な事を発見されました、それは次の第三の部屋には、大きな丸テイブルが据ゑられて、その上には三人前の料理と、三本の葡萄酒とがのつてあり、それに三脚の腰掛の用意まで、ちやんとしてあるではありませんか、大胆な黒い騎士は、『なんといふ気の利いたホテルだらう。』 などと平気で無駄口をきゝながら、たらふく料理を喰べましたが、臆病な他の騎士は喰物が咽喉にはひるどころではありません、ます/\震へるばかりでありました。 次にまた不思議なことには、第四の部屋には、三人分の寝台が用意されてあることでした。になつてをりましたが、そこの土間には、三つの秣桶《まぐさをけ》と三つの水桶と、三つの毛ブラシと、がちやんと置かれてありました。 ちやうど、三人の騎手[#「手」に「ママ」の注記]の乗つた三頭の馬がやつてくるために、用意をしてあるかのやうでありました。 黒い騎士はたいへん喜んで、さつそく乗つてきた馬に、水桶の水をやり、秣をやり、ブラシで毛なみをきれいに撫でゝやりましたが、他の二人の騎士達は、あまりのうす気味の悪るさに、たゞ呆然と突立つてをりました。 それよりも不思議なことには、次の第二の部屋には、一人の女がきちんと膝を組んで坐つてをりました。 顔色は凄みを帯びたほどに白く、髪を長く後に垂れ、青い上着をきたこの女は、人形のやうに、唖のやうに、坐つてをりました。『旅の三人の騎士です一夜のお宿をおねがひしたい。』 かう黒い騎士は、女にむかつて言ひましたが、女は冷めたい大理石のやうに坐つたまゝ、一言の返事もいたしませんでした。青い騎士と白い騎士は、がた/\と震へだしました。

[#4字下げ]三[#「三」は中見出し]つゞいてまた不思議な事を発見されました、それは次の第三の部屋には、大きな丸テイブルが据ゑられて、その上には三人前の料理と、三本の葡萄酒とがのつてあり、それに三脚の腰掛の用意まで、ちやんとしてあるではありませんか、大胆な黒い騎士は、『なんといふ気の利いたホテルだらう。』 などと平気で無駄口をきゝながら、たらふく料理を喰べましたが、臆病な他の騎士は喰物が咽喉にはひるどころではありません、ます/\震へるばかりでありました。 次にまた不思議なことには、第四の部屋には、三人分の寝台が用意されてあることでした。

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