鶏のお婆さん

かう思ひました、すると女の子の重い頭は、コロリと転げ出して、スポリと地の中にもぐり込んでしまつたのです。 その夜は、とうとう女の子が、畑から家にかへりませんでした、母親はしんぱいして、あくる朝早くに、さがしにでかけました、すると、畑のまんなかに、女の子の鍬がなげだされてあるきりで、女の子のすがたは見えません。『あの子は、どこへ行つたのだらうね、地面の中へでもかくれたのかしら』 かう言つて母親は、鍬でそのへんの土をほりかへしてみると、土のなかからたくさんのタマネギが、ごろごろところげでました。 母親は、そのタマネギを大きな籠に、うんとこさと入れて小脇にかかへてかへりました。『まあ、まあ、娘もたいへんしあはせになつて、こんなに沢山衣装を着こんでゐるよ』 かういつて母親は、タマネギの皮を、一枚一枚むき始めましたが、成程むいても、むいても、下着をたくさんに着込んでをりました。(自筆原稿)[#改ページ]

鶏のお婆さん[#「鶏のお婆さん」は大見出し]

 鶏たちは、鶏小屋の近所の野原にぞろぞろと行列をつくつてやつてきました。 野原には小さな虫がたくさん飛んでゐましたし、きれいな水の流れもありましたから、鶏たちは其処が好きでいつも遊び場所にしてゐました。 なにか不思議な事が起きたり、あやしい者の姿を発見《みつけ》ることは、雄鶏が一番上手でした、雌鶏たちの目もとゞかないやうな、遠くの方の草の中から犬の耳が二つ、ひよつこり出てゐるのでも、雄鶏はたちまち発見しました。『悪者が居るぞ、みんな用心しろ』と雄鶏は大きな声で叫びました、それから雄鶏は精いつぱい首を長くのばして、悪い奴がどつちの方角へ歩るきだすかを監視しました、それで雌鶏たちは雄鶏が自分達を守つてくれるので安心をして、餌を拾つたり、遊びまはつたりすることが出来たのです。

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