未収録詩篇(1936~1940)

夜が明けました、殊にからりと晴れた好天気で、鶏飼人が戸を開くと、ギラギラするやうな日光が、小屋の中にをどりこみました。 鶏たちは、大喜びで、はしやぎ、柵の中を走りまはつて、わずかの時間まるで気狂ひのやうに嬉しがつて、餌争ひをしました。 雄鶏は、吃驚りして、声をあげました。『おい、お前たちは、何をそんなに奪ひ合つてはしやいでゐるんだ、それはお婆さんの脚ではないか』 鶏たちは、今更のやうにびつくりして、くはへてゐたものを放しました、雄鶏はそこであたりを見廻しましたが、お婆さん鶏の姿は、そのあたりには見あたりませんでした。(自筆原稿)

●目次◆未収録詩篇(1936~1940)性別の谷一つの太陽と二つの現実パドマ雪の伝説を探るには右手と左手或る旦那の生活寓話的な詩二篇 温和しい強盗 猿と臭い栗国民の臍を代表してさあ・練習始め芝居は順序よくいつてゐる日比谷附近多少の埃は平民と愛愛と衝動と叡智文学の大根役者に与ふ転落インテリの硬直喜怒哀楽の歌怖ろしい言葉を訴訟狂のやうに

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