一つは男の性の側面

この谷は二つのむかひ合つた側面をもつてゐる、一つは男の性の側面、一つは女の性の側面です。二つの側面の間を清麗な水が流れてゐる、男は己れの側面を降りてゆきそして底もしれないふかさに悩みくるしむ、相会ふことを追求するのです、男も女も呼びあつてゐる、たがひに声はとゞき、意志は伝達する、たゞそれだけです、永遠のへだたりをもつてゐる男と女とが思想のこと、経済上のことを語りあつてゐることを谷やせゝらぎが嘲笑してゐるのです。

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然し私は信じたい、谷の空間をとびこえて、完全にあなたを、あらゆる婦人を理解したり、愛したりできると、――さあ、貴方は男のくせに[#ここから2字下げ]そんなに感情的であつてはいけません、何ごとも理性ですよ、理性ですよ。[#ここで字下げ終わり]帰り際に玄関で私にむかつて、あなたは男性的に拳をあげて私の男を勇気づけてくれました、私の感情は軽蔑されましたあなたは理性を主張しました、私はそれを感謝します。だが問題は残つてゐるのです。

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