猿と臭い栗

猿と臭い栗

猿の子供達が栗をとつてゐると不思議な見馴れない二つの栗をみつけた驚ろいて父親の処へもつてゆく、「何だ、これは栗とは違ふやうだ毛だらけの丸いものだ何処で拾つてきた」「これが偶然、栗の木になつてゐたよ」「どれどれ、はゝあ、判つたこれが人間の世界の偶然の毛鞠といふものに違ひないそんな物は早く捨てゝおいで」「でも折角、拾つたんだもの捨てるのは惜しいや」「ぢや交番へ届けておいで」猿の子供は猿の交番へ届けに行つた。お巡りさんはつくづくみて「やつかいなものを拾つてきたなこれは人間の世界でも手余しものぢや、今時こんなものは猿の世界でも臭くて喰はんものぢや落し主は判つてゐる返してやれ――」お巡りさんは空高く人間の世界に鞠を投げ返した、二つの毛鞠は一つは中河与一といふ人の庭へ一つは石原純といふ人の庭へ、二人の偶然論者のところへ落ちた

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