訴訟狂のやうに

訴訟狂のやうに

わが友よ君に激昂の日が幾日あつたか数へて見よ詩人を名乗るくせに感情的になつた経験があるか僕は訴訟狂のやうに民衆に訴へてゐる純粋な快楽は権利を主張する瞬間にある心や肉体のすりへることを恐れてゐて一篇の詩も一個のボタンもつくれやしない争ひをさけてゐて勝つことが出来ないやうに労働をさけてゐて何物も産れない可哀さうに君等は敵を見失つてゐるのだ戦の前線から幾度も君を馬車が迎へにきたのに君は乗らうとしなかつたいさぎよく詩人よ発狂しろ憤りや悲しみや悦びで頭を破裂させてみたらいい、君は頭の中がゼンマイでできてゐるやうな錯覚を起してゐるのだ僕が保証する君の頭の中は時計より緻密にできてゐる決して狂ひもこはれもしないだらう怖ろしいことは使はない頭の中の観念は亡びることだ。

— posted by id at 02:38 pm  

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