鮪が泳いできました

そこへ鮪が泳いできました鮪は図体の大きな割に臆病者で刺身庖刀の姿をみるとふるへあがつて水を掻くヒレも動かなくなるほどでしたが刺身庖刀はここでも精悍にとびかかつて鮪の一番いいところを頂戴しました鮪は泣き泣き逃げました偶然大鯛と鮪が逢ひました

[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]鮪は「おゝ大鯛クン君もやられたか」大鯛「ウン残念だ、このまゝ引つ込むのは癪だ」鮪は「大鯛君ところで近頃は新体制で、我々は目方売になつてゐるんぢやあない」「さうだ、さうだ、俺達をハカリにかけないで、目分量で、そいで行きやがつた。陸上に知らしてしまおう」[#ここで字下げ終わり]そこで鮪と大鯛は急いで事情を陸上に知らせました

さうとも知らず刺身庖刀は意気揚々と鮪に大鯛の身をひつさげて波打際につきましたそこに白い皿が二枚どうだね首尾はと待つてゐましたしかし彼等が陸へ上るか上らないかに庖刀と二枚の皿は経済警察の手で捕まつてしまつたのです

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