無題(遺稿)

無題(遺稿)

あゝ、こゝに現実もなく夢もなくたゞ瞳孔にうつるもの五色の形、ものうけれ夢の路筋耕さんつかれて寝汗浴びるほど鍬をもつて私は夢の畑を耕しまはるこゝに理想の煉瓦を積みこゝに自由のせきを切りこゝに生命の畦をつくるつかれて寝汗掻くまでに夢の中でも耕やさんさればこの哀れな男に助太刀するものもなく大口あいて飯をくらひおちよぼ口でコオヒイをのみみる夢もなく語る人生もなく毎日ぼんやりとあるき腰かけてゐるおどろき易い者はたゞ一人もこの世にゐなくなつた都会の掘割の灰色の水の溜まりに三つばかり水の泡なにやらちよつと語りたさうに顔をだして姿をけして影もない

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