球葱スープ

[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]○球葱スープは球葱の大なるもの六個を細《こまか》に刻みたらば深き鍋にバターを大匙三杯位溶かし葱の鳶色《とびいろ》になるほど炒りつけ、水に漬けたるパンの割りたるものと塩と胡椒を加え水を沢山|注《さ》し、十五分間余り強からぬ火にて煮たる後青味を何なりとも入れて出すべし。○右の球葱の場合に日本葱の上等を使いてもよし。○水を注す代りに牛かあるいは鳥のスープを注せば一層味よし。○豌豆スープは仏蘭西豌豆の乾したるものは一夜水に漬け、生ならばそのまま洗いてザット湯煮《ゆで》、一度湯煮こぼして次に水とホンの少しの塩を加え二時間ほどよく煮、豌豆の柔になりたるものを掬い揚げ、摺りつぶして裏漉《うらごし》にし、漉したるものを前の汁に入れ、塩、胡椒、バターに味をつけ再び煮立てて用ゆ。これも水の代りにスープを用ゆればなおよし。薄く小さく切りたるパンを五つ六つ浮かせて出すもよし。○赤茄子スープは夏ならば生の物、冬ならば鑵詰《かんづめ》の物を四十分間煮てバターを交ぜ、曹達《そうだ》を極く少し入れよく掻廻し別にスープかあるいは牛乳を沸してこの中へ注ぎ込むなり。壜詰《びんづめ》のトマトソースを用ゆれば便利あり。○葱および球葱は脳を養いかつ消化液を分泌せしむるの功あり。日本葱は蛋白質一分五厘、脂肪二厘、含水炭素四分八厘を含む。球葱は蛋白質一分六厘、脂肪一分、含水炭素八分三厘を含む。○葱の臭気は一種の揮発油硫化アルリールあるによる。○豌豆は蛋白質弐割弐分、脂肪二分、含水炭素五割あり。滋養の功|蚕豆《そらまめ》に亜《つ》ぐ。○赤茄子は蛋白質八厘八毛、脂肪一厘、含水炭素三分六厘ありて九割余は水分なり。[#ここで字下げ終わり]

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