第一が唾液《だえき》

第一が唾液《だえき》、第二が胃液、第三が膵液《すいえき》、第四が胆汁《たんじゅう》、第五が腸液さ。その中《うち》で唾液と膵液と腸液の三種が米や麦のような澱粉質を消化する。胃液と膵液と腸液との三種が肉類のような蛋白質を消化するし、膵液と胆汁との二種がバターのような脂肪分を消化する。唾液は口から出てアルカリ性だから鹹《しおから》い味だし、胃液は酸《す》いし、肝臓から出る胆汁は苦《にが》い。膵液と腸液はどんな味だか知らんけれどもとにかく五種の液が消化する処へ五種の味を喫するのは自ら暗合しているね。この原則で見ると肉類は重《おも》に胃で消化され穀物は重に腸で消化されるから日本人のような穀食人種は腸の長さが平均三十尺あって西洋人よりもよっぽど長くかつ太いそうだ」主人「日本人の中でも大原君の腸なんぞは特別に長くって太いだろう。大原君の腹の太鼓然《たいこぜん》たるは胃袋が大きいばかりでなく腸も特別に大きいのだ。胃腸|跋扈《ばっこ》して腹中の天地を横領するかなアハハ、時にその大原君はどうしているか、そろそろ出掛けてみよう」と客を促して共に大原の下宿へ尋ね行きぬ。[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]○鶏肉は平均蛋白質壱割八分ないし弐割、脂肪が九分ないし壱割、その余は水分なり。○鶏肉は屠殺したるものを直ちに調理しては味悪し。冬ならば三、四日の後、夏ならば一両日の後を可とす。○鶏その他鳥類の病死せるものあるいは腐敗に近きものは眼の中に水液を含み、嘴《くちばし》の中ねばり、羽抜け易くして肛門ゆるみ水気を含む。用ゆる者はよく注意すべし。○鮮《あたら》しき鳥は前文の悪兆なく眼の球に光沢あり。○陸上の鳥類即ち鶏鳩鶉鴫雉の類は消化良し。海鳥即ち雁鴨鵞水鶏の如きは陸島に比して消化悪し。[#ここで字下げ終わり]

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