牛乳

[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]○牛乳は普通蛋白質三分六厘、脂肪四分二厘、乳糖四分七厘あり。慢性腸胃病には禁ずるをよしとす。肺結核、腎臓病並に心臓病には偉功あり。○牛乳を多量に飲むべき必要あらば弐合の乳を一合に煎じ詰めて用ゆべし。牛乳は食後一時間に飲むを好しとす。これ胃が最も好く牛乳を消化せしむる時なり。○牛乳の良質なるは純粋の日本種なり。その蛋白質五分余に達す。○牛乳は朝と昼と夕と三度に搾りたるものを検査するに昼搾りたるものが脂肪蛋白質の含有量最も多く、夕刻搾りたる者はこれに亜《つ》ぎ、朝のものが最も少し。○牛乳は何人も常に用い殊に小児を育つるに必要の物なればその質の良否は委《くわ》しく検査せざるべからず。牛乳を用ゆる人は必ずフェーゼル氏の検乳器を用意して時々検査を怠る勿《なか》れ。○フェーゼル氏の検乳器は医療器械店にあり。一組一円七十銭なり。○フェーゼル氏の検乳器即ちラクトスコープにて牛乳を検査するには先ず細き硝子管を牛乳中へ入れ数字の四と印したる処まで牛乳が昇りたらば四立方センチメートルと心得て管の上端の孔を押えながら抜き出し検査器へその牛乳を注ぐべし。器中の下部にある黒き横線は忽《たちま》ち隠れて見えざるべし。それへ少しずつ水を加えて振盪《しんとう》し、乳汁の薄くなりて黒線の一、二と数え得るに至らばその乳汁の達したる盛目を見よ。三の処まで達して黒線が読み得るならばその牛乳は百分中の三だけ脂肪量を含むなり。四まで達せし時黒線が見ゆるに至らば四プロセントなり。即ち牛乳の濃きほど多くの水を要して高く昇る訳なり。百分の三以上を飲用に適したる者とす。それ以下は粗悪乳なり。悪き牛乳を五合飲まんより良き牛乳を三合飲むが優れり。日本種の牛乳は脂肪量百分の五以上あり。牛乳にて小児を養う者は必ず先ず牛乳を検査せざるべからず。市中には往々百分の二以下の粗悪乳を売るものあり。[#ここで字下げ終わり]

— posted by id at 02:55 pm  

T: Y: ALL: Online:
Created in 1.9902 sec.

http://ebook-my-home.com/