水道の水

○ムツは蛋白質壱割七分九厘、脂肪六分二厘、鉱物質一分一厘四毛あり。○ジストマに罹りたる鮒は池沼に棲むもの多し。宮城県下は殊に多し。○ヤマメは地方および川流によりて形も異り味も異ること鮎の如し。信州辺にてはヤマメを鮎より貴び、相州辺にては鮎をヤマメより貴ぶ。西洋人は非常にヤマメを愛す。その味が鱒に似て脂肪多き故ならん。○ヤマメはフライの外左の料理が味良し。先ず魚へ塩をふりて一時間ほど置き蒸籠《せいろ》または御飯蒸しにて蒸し、別に牛乳ソースとて鍋へ大サジ一杯のバターを溶かし、大サジ一杯のメリケン粉を入れて能くいため、牛乳を少しずつ入れて沸立たせ、塩と胡椒にて味を附け、その汁をドロドロに濃くし、蒸したる魚へかけて出すなり。この法は他の魚類に用いてよし。○ヤマメは単に塩蒸しにしたるばかりにても味良し。[#ここで字下げ終わり]

[#4字下げ]第五十一 水道の水[#「第五十一 水道の水」は中見出し]

 梅干の煮方はお登和嬢によりて説明せらる「小山の奥さん、梅干を煮ますのは最初三度ほどもよく湯煮漏《ゆでこぼ》してそれから味淋《みりん》とお砂糖と鰹節《かつおぶし》を沢山入れて三時間位よく煮詰めるのです。塩の鹹《から》い梅干なら四、五|度《たび》もよく湯煮漏さないといけません。精進にするのは鰹節《かつぶし》を入れませんが入れた方が味も大層良くなります」妻君「そうでございますか、私どもでは水道の水を使っておりますから毎日梅干を食べる事に致しましょう。鉛の中毒を受けては溜まりません。しかしお登和さん、西洋にも梅干がありましょうか」お登和も独断にて答え難《がた》し「ねー兄さん、どうでしょう」と兄を顧《かえりみ》る。兄の中川「西洋にはないさ」というを聞きて小山が「それでは中川君、西洋人の水道使用者は何で鉛毒を消すだろう」中川「それは予防法がある。最初水道の使用に慣れない内は大層沢山に鉛の中毒を受けた人があったので段々気が付いて使用法が上手になった。

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