玄米の粥《かゆ》

○牛肉は平均蛋白質壱割八分、脂肪壱割六分、鉱物質五分二厘、水分六割八厘あり。牛肉の鉱物質には鉄分多し。○このイチボは蛋白質弐割六分、脂肪二分二厘あり。○牛の脂肪肉は蛋白質壱割四分八厘、脂肪弐割九分八厘、鉱物質四分四厘あり。○牛肉の珍味にはこの外になお犢《こうし》のシブレと称するものあり。米国にてスウィトブレッド即ち甘きパンという。最上等の犢の咽喉部にある小さき円き肉なり。下等の犢にはなし。平均十頭の犢を屠《ほふ》りてシブレ三個あるいは四個を得るのみ。故に非常に貴し。○前文シブレの外にロース肉の中心にある円き長き部分、原名にてスタンデンドビーフと称する処甚だ美味なり。これらは特別に牛肉屋へ注文せざれば獲難《えがた》し。○スープの原料は牛の脛《すね》の肉を良とす。[#ここで字下げ終わり]

[#4字下げ]第五十六 玄米の粥《かゆ》[#「第五十六 玄米の粥」は中見出し]

 ビフステーキの御馳走《ごちそう》済みければ代って出《い》ずる魚の料理、皿と盛方《もりかた》は西洋風なれども味は一種特別の趣《おもむき》あり。小山の妻君お登和嬢へ尋ぬるに「それは鰤《ぶり》の梅餡《うめあん》で、鰤の身を上等にすれば蒸すのですが湯煮《ゆで》ても構いません。それは梅干の餡をかけたのです。梅干の餡は梅干の酸味《すみ》をよく煮出《にだ》してその汁《つゆ》へ少しお酒を加えて葛《くず》を溶き込んでドロドロにしたのです。梅餡は何にかけても美味《おいしゅ》うございます」との答。この一皿|忽《たちま》ちにして客に平《たい》らげられ今度は見馴れぬ御馳走を深き皿に盛り来る。

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