九月十四日(水曜)

[#1字下げ]九月十四日(水曜)[#「九月十四日(水曜)」は中見出し] 燈火管制第三日。十二時に座へ出る。指圧を又三十分。今日は、東宝従業員の家族を招待したとかで、満員になってゐる、が笑ひは少い。傷病兵を招待するとか、有意義なことを考へればいゝのに、まるでダメだ。犬の医者はふざけちらし、「女優と詩人」何となくやりにくゝ、「活動」もかなりいゝ加減にやる。生駒来り、防空演習中も丸松の笑の王国は休まずやってるが、反って大入りの由、娯楽の根強さだ。まっすぐ帰る。夕食して二階へ、こゝで一と寝入りするのがたのしみ。起きると読書、中山義秀の「厚物咲」と、「新婚二人三脚」を読了。

[#1字下げ]九月十五日(木曜)[#「九月十五日(木曜)」は中見出し] 座へ向ふ。何うせ客は入らないに違ない。果して入りはない、招待が多いらしい、反響が少いのでやりにくい。ハネ五時十分、銀座へ廻り、三昧堂で新刊を漁ったのがいけなかった、小滝橋に近いあたりで、空襲! と来て、そのまゝ動くこともならず、一時間半車の中で煙草ものめずに、クサってゐた。漸く七時半解除となり、帰宅、ペコ/\の腹へ、ウイをのみ、食事しつゝ先日書いた時局演芸「お母さんの講演」をきく。水町庸子はうまいが、しまひの方カットされたので意味なし。

[#1字下げ]九月十六日(金曜)[#「九月十六日(金曜)」は中見出し] 今暁又アダリンのんだので、起きるのがとても辛い。座へ出ると、指圧療法は三十分。日日の記者、加納君来り、漢口を落すのが十月十五日頃で、それがすむと又関東をやるんださうだ、大変だ。今日も招待半分らしく、ちっとも気のりせず、犬の医者はます/\無軌道となる。五時前に終る。又昨日みたいな目にあってはと急いで、見物の母上と一緒に帰る。下二母上も見物、これを送る。夕食、寝ちまっちゃあ又夜半にねられなくなるから、読書。ダビの「北ホテル」と甲賀三郎の「虞美人の涙」を読み了り、ねる。

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