九月二十七日(火曜)

[#1字下げ]九月二十七日(火曜)[#「九月二十七日(火曜)」は中見出し] 三時の汽車でビクター音楽部隊が出発、深井史郎・佐伯孝夫・飯田信夫の三人が、例の服を着て、「グリコタベテコノゲンキ」といふ式の可愛い姿。三時の富士で出発。それを見送って、穂積純太郎を連れて銀座へ出る。ホテ・グリへ。オルドヴル、ミネストロン、カレーライス。座へ出る。横浜と東横へ定ったロッパ・ガールスが「私たちガールスだけで独立公演したい、田村・北村の応援無用」と、稽古に入らなかった件あり、柳はぢめ文芸部に注意せよと言ふ。犬の医者今夜は夢声でやる、これもテンポがないのでダメ。ハネて、又々引抜きの計画で、少々のウイ。「弾ずむ歌」の犬の医者は、東北弁まじりの独特のセリフでやってゐたのだが、ダレて来るので、毎日色々変へて、昨日は井上、今日は徳川夢声でやったが、これではちっともテンポがない、スピードが出なくて失敗した。してみると、我々の芝居は、さういふ人たちの倍テンポでやってゐるのだと、しみ/″\感じた。

[#1字下げ]九月二十八日(水曜)[#「九月二十八日(水曜)」は中見出し] 十二時前に道子と出て、帝都座へ「路傍の石」を見に行く。中々の傑作である。田坂具隆のよさだ、俗衆に媚びざるの芸、それがこれだけの大当り、この点大いに参考になった。それから一人で帝劇へかけつけ、「踊るブルース」を見る、コロムビアの服部良一曲を集めたショウで、よく纏まってゐる。松平晃・服部良一を誘って銀座のアラスカへ行く。服部は初対面だが芸術を好むこと盛なる好青年。座へ出る。菊田一夫、劇作家部隊に選ばれて戦地へ行くことゝなる。大いにハリキってゐる。入りは七分強といふところ。まっすぐ帰宅。少々ウイ。道子とピョン/\貯金、ねる。

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