十月十九日(水曜)

[#1字下げ]十月十九日(水曜)[#「十月十九日(水曜)」は中見出し] 晴れ。八時起き、砧村のロケ先へ直行する。邸を借り、その門のとこと、庭で、ラッキー・セヴンといふ漫才が喋ってるところへ僕がワリ込むカット。終ると田園調布までノシて、道でビールをのむ件りの撮影。六時からプレスコで、一寸ハンパな時間。二葉亭へ又行く。これも馴れの悲劇か、あんまりうまいと思へなかった。七時近く、砧のPCLへ。ラッシュを見る。僕の部分まあいゝ、渡辺・清川の個所、斎藤寅次郎がハメを外し過ぎた感じ。それからプレスコをやる。鈴木静一と「大久保」の音楽を打合せつゝ十時近く帰宅。

[#1字下げ]十月二十日(木曜)[#「十月二十日(木曜)」は中見出し] 又早起き九時に出る。東発のセットで、今日は街路。中々手の込んだもので、一軒々々の店に、八百屋なら八百屋物、菓子屋には菓子がちゃんと並んでゐるのだ。つまらんことを今更感心する。午前中、数カット、六さんが家を出て行くところ等。昼休み一時間、雨である。食堂で、うら悲しい食事。読売の記者が来て、肥った者からヤセた者に与ふるといふのを話せと言ふ。むづかしいことを言やがる。何かと適当なことを話す。又セット入り、床屋だの、米屋の小僧が声帯模写をやる件だのいろ/\撮し、一ばんしまひは床屋からシャボンの泡だらけで出て来るところをやる、顔がヒリ/\する。滝村と阿部が待ってゝ銀座へ、スコットで食事、それからロンシャンてバーへ行ったが、飲んでもつまらず、帰宅十二時すぐねる。

[#1字下げ]十月二十一日(金曜)[#「十月二十一日(金曜)」は中見出し] 嵐である。一時頃迎へ来り、今日は砧の撮影所へ行く。小学校の学芸会の場面、エキストラと子供のトラが二三百人来てゐて、中々の騒ぎだ。朝から待ってる渡辺や杉とブツ/\言ってると、四時近く漸く呼ばれてセット入り。六さんの息子が綴方を読む。それを客席できいてるとこ数カットと、居たゝまらずコソ/\と逃げ出すところ等。撮影のあひまに食事、食堂で。うちのガールスの中、清見他二名来り、テストして貰ふ。阿部豊と、仕事終るやホテ・グリへ。偶然小田末造に会ひ、例の気焔に当てられ、コンソメ・カネロニー、鶏のコゝット等を食べる。

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