十月三十一日(月曜)

[#1字下げ]十月三十一日(月曜)[#「十月三十一日(月曜)」は中見出し] ぽっと眼を開くと旅の宿なので何だかヘンな気持、此処の朝めしは唯一の取柄で、朝めしらしく食はせる、飯三杯食った。堂ビル地下の理髪へ行く。此の間理髪したばかりだが型が気に入らないので直す。座へ出る。舞台稽古は十二時からの筈だったのが、手違ひ――東京の楽士を連れて来ないで、倹約して宝塚の楽士を使ふことに定められ、その宝塚楽士が夕方でなくては来られないとあって、大いにフンガイしたが、取敢ず、「お化け」にかゝらせ、僕、藤山と北のグリル京松で夕食。やっと楽士が来たが不馴れでドマつき中々終らない。十一時すぎたので打ち切り、藤山・サトウ・石田を連れてサンボアへ、ウイをのみ、帰りにヤキメシを食ふ。往来で酔っぱらひを藤山、手早くノシちまった早業には驚いた。[#改段]

[#3字下げ]昭和十三年十一月[#「昭和十三年十一月」は大見出し]

[#1字下げ]十一月一日(火曜)[#「十一月一日(火曜)」は中見出し] 北野劇場初日。 松平旅館第二朝、ポン/\蒸汽が通ると揺れる。飯を三杯。十二時に出て座へ。昼は「ハロー大阪」の残りと「青春音頭」の舞台稽古、久しぶりで女形、時間ぎり/″\迄やって、部屋で弁当とって食べる。初日故五時開演。一の「お化け」を袖から見る、渡辺とサトウで大熱演、えらい馬力なので中々可笑しい。「大番頭」はぢめ一寸食ひつき損ったかと思ったが、幕切はバリ/″\手が来た。「青春読本」女形絶対の受け。「ハロー大阪」も一々手が来た。ハネが十一時十分。清水・緑川を連れて北のニューオサカでウイをのみ、長兵衛ですし食って宿へ帰る。 今回は評判とてもよく、前売も初日となってからグン/″\と売れ出した由、やっぱりすべてのプランを僕に任せて置けばいゝのだ。

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