十一月十九日(土曜)

[#1字下げ]十一月十九日(土曜)[#「十一月十九日(土曜)」は中見出し] 今日は書きたいと思ひ、原稿紙を前にしてみたが、何うも気が出ない。かれこれするうちに、急にベルネの食事がしたくなり、神戸迄出かける。一人で出かけるんだから、馬鹿々々しい。オルドヴルの肉パイはうまかったが、ミネストロンから次がカレーライスなのは、うんざりした。でも変ってゝうまいのでアンコール。コーヒーがまづかった。座は大満員。左に記すが、大阪の客については一寸疑問を抱いた。「大番」より結局「青春」が一受け。又サンボア、軽く飲み、伊東・山野で歩いて帰る。 東京では、中日すぎの客ほど高級になる傾向がある。ところが北野劇場となると、どうも反対らしい。尤もこれは評判きいて初めて見る客が多いせいかも知れぬが、中日以後客席が、入ってるのにかゝはらず活気がないのは、不しぎな位である。

[#1字下げ]十一月二十日(日曜)[#「十一月二十日(日曜)」は中見出し] 十一時半迄ねちまった。ポン/\蒸汽も知らずぐっすり眠る日もある。座へ出る、もう芝居も半ダレだが、客の入り頗るよく、昼夜既に売切れである。そのくせ、日曜の客らしいハデな笑ひが少い。昼の「青春」でたらめピアノの弾奏をやり、「これはナポレオンの海水浴」の曲だと言ったら客より舞台の方が笑っちまってしばしは物が言へなかった。昼の終り、北のグリル京松へ、うまくなし。夜の客もよく笑ふが、中日以前ほどの活気がない。入りは超満員である。「青春」の曲は「未完成交響楽」と言ってやった。柳がジャーマンベーカリーの肉パイ持って帰ったので、早く帰り、のまず、読書と書き少々。

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