十一月二十六日(土曜)

[#1字下げ]十一月二十六日(土曜)[#「十一月二十六日(土曜)」は中見出し] 京都へ一日。 宿の朝めしも、これが名残りならと美味く食ひ、十二時に出る。茶代二十円、女中十円。太秦の東宝京都撮影所へ。此処のは一軒立の控室、林長二郎の部屋ださうで。スチルを撮りに、撮影所の近くへ。寒いのに驚く。河っぷちでタラヒに乗ったのと驢馬に乗って鎧を着たのと撮る。六時に円山公園の平埜家別館でサンデー毎日の座談会、空腹だのに、小さなものばかり出るから本店の芋ぼうとって貰ふ。エンタツ・アチャコ・高瀬実乗・岡田敬・森野カヂヤ・秋田実といふ顔ぶれ、高瀬の蛇食ひばなしに食はれ。終ってステーションへ。十一時四十五分の汽車、すぐ寝台へ入る。「大久保」のシナリオを読むと、馬に乗ってハイドウ/″\とかけ出して来るところがあるので、馬はとてもいけないから、ロングは代役でたのむと言ったら、斎藤寅次郎曰く、「そんなら驢馬でやりませう」と、即座にロバにしちまったが、こいつあ参った。大久保ロバ乗り、これは思ひつきなり。 人前へサラシものになるロケッて奴は大きらひだが、京都となると、も一つ気らくな感じだった。

[#1字下げ]十一月二十七日(日曜)[#「十一月二十七日(日曜)」は中見出し] 帰京。 寝台車の朝は、毎度ながら興ざめなものである。九時半東京着、防空演習で、昼でもストップがあるといふ、高槻の迎へで、無事帰宅。久々東京の味噌汁のうまさ、それから二階で又寝た、昼から三時迄。起きると、日記の整理、洗面所の横が、すっかり本棚となり、書籍類が落ちついて気持よくなった。夕食、久々親子三人の鍋つゝき。今夜は又防空演習で、早寝の手だが、道子とピョンをやり、それから床へ入る。藤田草之助の「室内楽」を読了。

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