十二月三日(土曜)

[#1字下げ]十二月三日(土曜)[#「十二月三日(土曜)」は中見出し] 撮影第一日。 炭屋旅館第一日、風呂気持よし、朝飯の味噌汁は、此の宿の一家が食ふ分を出させてみると、これは食へる、お客にはまづいの食はして、自分たちはうまいの食ってるなと笑ふ。一時近く、伏見の練兵場へ。合戦のシーンで、三百名のエキストラ――これが老人ばかりでヨタ/\と走ってゐる。鎧を着る、桃太郎みたいな前髪。彦左、鳶の巣山の一番乗りのところ。山の下で待つうち、曇りとなり、三時半つひにお流れとなる。夕方サトウロクローとはる/″\神戸へ。ベルネクラブで夕食、ボイルビーフとキャベジうまし。新開地の東宝朝日劇場へ行き、「チョコレートと兵隊」を見て泣き、藤山一郎アトラクション「ハロー神戸」を見て、藤山に見つかりクサらせた。又、ベルネへ寄り、バーでのみ、十二時の省線で京都へ引っかへす。 太陽が雲へ入る、とても見込みはなさゝうだ、でも待ってゐる、何時迄待った、といふ記録をつくるためであらう。

[#1字下げ]十二月四日(日曜)[#「十二月四日(日曜)」は中見出し] 七時半起き、食事――こいつがはかない。味噌汁はいゝが、結局醤油の味がまづいのか。八時半、迎へ来り、桃山練兵場へ行く。鳶の巣山の合戦、プレイバックの豪快ぶしがまっ先、刀を抜いてエイとやったり、槍をしごいたり、いや何うもイタにつかない。鎧で肩がこり、カツラがおでこに食ひ込んで痛む。小便したくても我まんだ。一時すぎに放免になった。滝村が来り大阪へ。アラスカで夕食、アスパラのポタアジュうまし、ハムのパイと若鶏煮込み、皆味がひつこい。それから北野劇場へ宝塚少女歌劇見物、三度目に見る白井鉄造の「三つのワルツ」は色々勉強になった、白井はやっぱり偉いと思ふ。京都へ帰り、宿ですぐねる。 三つのワルツは、やっぱりいゝ、配役が変ったり、カットされたり、さういふ点は忘れてしまふ。主題歌は、何べん位使ってゐるか、例のシュトラウスのワルツが出る度に数へてゐたら、二十度以上らしい、もう一度見たいと思ふ。

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