一月十一日(水曜)

[#1字下げ]一月十一日(水曜)[#「一月十一日(水曜)」は中見出し] 一睡もしなかった、家庭事変。五時半楽屋入りする。此ういふ時は一層シャンとしよう、と化粧前で思ふ。入りは二階が空いてゐるやうに見えたが、補助は沢山出てゐる。「遠山」いつもよりぐっとくだけようとした。「新婚」相変ずの馬劇をやる。「フォリース」のハリキリボーイ歌は漸く手が来るやうになった。ハネ十時五分前。福田宗吉と中山良男来り、ルパンへ行き、福田をコンダクターとして入れる話、向ふも希望し、ボックスと役者と近づけたよき仕事したいと話す。十二時すぎルパン出て帰る、ヘト/\だ。

[#1字下げ]一月十二日(木曜)[#「一月十二日(木曜)」は中見出し] 十二時すぎ迄、二日分ねた。日東コーナーハウスで四時、大辻司郎と会ふ、大辻はアメリカの世界博覧会へ行くので、帰朝六月、うちでそのレポレヴィウをやりたいといふ。そいつはよからう、どん/″\材料を送るやうに言っとく。名物食堂へ寄りデンツーでポタージュとえびのニューバーグを食ひ、五時座へ出る。今日も補助出切りの盛況だが、客が落ちてる――質が――気がしてしょうがない。昨夕刊に村松梢風の劇評「ロッパ喰はれる」が出たが、これも面白い意見だった。ハネは十時一寸前。築地のきん楽へ、ビクター岡の招待、川口松太郎と三益同席が既につまらんところへ新橋芸妓の不礼さに呆れ、腹立つ。帰宅二時すぎ。 恐れ多くも「ロッパの大久保彦左衛門」は、天覧の栄を得たとのこと。

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