一月二十六日(木曜)

[#1字下げ]一月二十六日(木曜)[#「一月二十六日(木曜)」は中見出し] 十二時半に出る、女房同伴国際劇場へ。「日本三部曲」といふ、国策線に沿ったもの、入り八九分。「忠臣蔵」つまらず、「見て来た大陸」更にいけない。トリの「防共の誓」がわりによかった。楽屋入り、ふた葉の挽肉親子を食ふ。今日も大入満員。「遠山」のお白州で大失敗をした。終りの頃、立上らうとする時、長袴をひっかけ、縫目がほどけて左の足をまる出しにしたからワッと悪落ち、仕方なく「一同立て、但し余は都合があって立たぬぞ」と言ったら又大受け。いやはや冷汗。ハネ十時十分。築地きん楽へ、例の三島等の会で行く。

[#1字下げ]一月二十七日(金曜)[#「一月二十七日(金曜)」は中見出し] 小勝の落語集をニヤ/\笑ひ乍ら読む。三時に家を出て、山水楼へ、週刊朝日の座談会。藤山一郎・上山草人・中村正常他、とりとめなき喋りっこ。中村正常てのは狂人じゃないか。流石に朝日の座談会は金をつかふし、失礼がない。座へ出る。今日もびっしり満員。舞台では、歌ひ乍ら、歌てものゝ歌ひ方を、しきりに考へる。「内田百間随筆より」といふ、題のついてゐないシナリオが出来た。大急ぎに読む、渋い、殆んど笑ひがない。ハネ十時。築地の秀仲に、阿部・滝村に上森も来て、シナリオを研究する、渋いから興行的に何うかと思はれる。八田尚之のシナリオは、まづくなし。

[#1字下げ]一月二十八日(土曜)[#「一月二十八日(土曜)」は中見出し] 二時から東宝小劇場を借りて「酔のコンクール」をやるので、出かける。青年部各々頭を絞ったコント芸、大体皆ウイ/\と歩いて来るのばかりだったが、皆ハリキってゝ面白かった。山野が飛入りで出たから、いゝとこあるナと思ったら「青年部てのは月給が安いからまづいのは当りまへだが」てな芸評をやり出した。気違ひだ。一等は加川久、二等城木浩二、三等吉川・佐々木。楽屋へ入る、菊池氏紹介の宮口保険女史につかまり医者の診断をされちまふ。それから中野英治がやって来る、満州ゴロの板倉美爾緒が来る、ロクなの来ないでクサる。入りは今日もよろし。「婦人公論」のたのみで中村篤九来り談話をとる、題「家庭の団欒」とは苦し。ハネ十時一寸すぎ。まっすぐ帰宅。

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