一月二十九日(日曜)

[#1字下げ]一月二十九日(日曜)[#「一月二十九日(日曜)」は中見出し] 千秋楽のマチネーである。十二時に入る。昼も大満員。本社に呼ばれ、一同へ五円宛の大入袋が出る。去年よりづっといゝ筈なのにケチになったらしい。清川虹子が、いつもの通りパイを持って挨拶に来る、義理堅い奴だ。夜の部、補助も出し切った。李王殿下がおしのびで見に来られた由で、大さわぎだ。「遠山」の幕切れ、サッと扇をひらいて顔をかくしてから後ろ向きになったらワッと受けた、早く気がついて此うすべきであった。「愛国行進曲」を合唱して終り。技芸賞とナロー賞は、「松の一番」の月野恵子、「遠山」の久米夏子、「フォリース」の加川・兎のダンスチーム、リヅムガールス四名に出た。銀座へ出る。

[#1字下げ]一月三十日(月曜)[#「一月三十日(月曜)」は中見出し] 本日より休養。充分ねて、女房と日暮里の高橋へ行き、夫婦二組にて浅草のみや古、ウイのみいゝ心地――向島の入きんへ二組で泊る。

[#1字下げ]一月三十一日(火曜)[#「一月三十一日(火曜)」は中見出し] 向島入きんの朝。馬鍋と名物の蜆汁や里芋で食べて、十二時半女房と、高槻の迎ひで出る。四谷見附で女房が下りたトタンに、車が故障し、別の車を雇って砧村へ。円タクがメーター制になったのはいゝが、七十銭増しなら行くといふ、で結局一円八十銭に七十銭増の二円半とられる、昭和十四年珍風景である。砧村着。それからカツラ屋でカン/\/\とヅラ合せ、二役なので、夕方になってしまふ。六時近く砧を出て、渋谷のふたば亭へ、阿部豊と食事。ポタアジュうまし、ローハムの煮たのから、バゞロアまで吟味の跡たり。帰って読書したくなり七時半といふ時間に帰宅、恥かしいやうなもの。[#改段]

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