二月十三日(月曜)

[#1字下げ]二月十三日(月曜)[#「二月十三日(月曜)」は中見出し] 十二時頃から、高峰秀子扮する先生の娘が、二階へ訪れて来るしんみりしたところ。高峰秀子は、別の映画で先刻迄働いて、これで徹夜すると又朝八時開始で働くんださうだ。夜も三四時頃、僕の芝居が何うしても阿部の腑に落ちない個所が出来、いろ/\注文されるが、何度やってもいけない。さんざ手古擦って、明け方に終る。折角買ったお雑煮の材料が、煮過ぎて、のりのやうになってダメとなり、又食堂で何かと食ひ、午前八時頃から階下の芝居をやってアガリ。帰宅今朝十時。すぐねた。風邪気味だったのだが反ってこれで治ったらしい。三時半迄ねて、名物食堂の天ぷらをしこたま食った。それからクラブへ寄り雀をやり、ルパンでのみ、牛込松ヶ枝へ寄った。

[#1字下げ]二月十四日(火曜)[#「二月十四日(火曜)」は中見出し] 十二時に迎へ来り、砧へ向ふ。青路の細君と娘の家である。午後一時開始で、玄関のところ廊下等順に攻めて行く。今夜もおそくなるらしいので、がっかりだ。近藤日出造が、スタヂオめぐりに来り、徳川夢声が「はたらく一家」で徳永直そっくりで、こっちが内田百間そっくりだといふ話。食堂できり干しにガンモ、サツマ汁。だけじゃ足りないので支那そばを食ふ。漸く夜に入ってハカドリ出したが、今日はすっかり声が嗄れちまって音の人も苦労する、自分でもクサる。アガリは九時半頃、わりに早かった。すぐ帰る。

[#1字下げ]二月十五日(水曜)[#「二月十五日(水曜)」は中見出し] 八時半に起きる、その辛さ、あゝもう少しねたい/\と思ふ。雪だ、霏々と降る。十一時すぎにセットへ入る。声が昨日よりひどいので、モニターが弱ってゐる。昼めし、オムレツを食ふ。午後は、次女との件で、堤真佐子の例のオーバーな芸を阿部豊が巧みに演出するので感心する、ヴェテランだ。夕食、まづき/″\白シチュウを食ひ部屋へ帰ったら、「声が大分いけないから今日は中止、明日一日休みにして、治して下さい。」もう少々早く言って呉れゝば、ふたば亭が食へたものを! 徳山※[#「王+二点しんにょうの連」、第3水準1-88-24]が、他の映画に出るので、PCLへ来た。彼の近作に曰く、PCLの便所に入りしみ/″\と思ふ、入江たか子も此処でするかと。彼の面目躍如。

— posted by id at 09:18 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 1.9533 sec.

http://ebook-my-home.com/