二月二十二日(水曜)

[#1字下げ]二月二十二日(水曜)[#「二月二十二日(水曜)」は中見出し] 徹夜が続いて日記が溜ると、さて此の日何うしたのかと見当がつかなくなる。兎に角、此の日も砧村へ行った。さうだ、今日から大学の教員室のセット、二役の藤田百庵を初めて演る。イガグリ頭にチョビひげで、東北弁、こいつは気が楽でいゝ。然し、阿部にかゝって、映画は勉強になった。映画の流れといふことで、狙ひは実にいゝ。玉井旭洋、大学教授で出る。弁士とは違って、すら/\行かない。七時迄で切り上げ、迎への車で、放送局。「体操大臣」の放送。面白くないもの、おまけに今夜大分舌をかんだ。北村季佐江が意外によかった。済むと、ルパンへ寄り、浅草へのり出し、ウイをのみ、すぐ酔った。

[#1字下げ]二月二十三日(木曜)[#「二月二十三日(木曜)」は中見出し] 砧村の大学のセット。急がされて出かけてみれば、早目に昼食して、一時から始めるといふ。今夜も徹夜と定ってゐるので気は浮かない。文ビルの方で大阪行の稽古も始まったのだが、舞台稽古へブッツケに立つよりなし。午後、学校の先生大ぜいなので動かすのに手間がとれ、一カットが長くかゝる。夕食、食堂でライスカレーをやり、ラッシュを見る。いゝものか、何うか、兎に角異色映画だ。女房が食料持参、セット見物に来た。そのせいかN・Gを出し、笑はれた。夜に入り、阿部ます/\冴えるらしく、どん/″\やり午前三時すぎ終る。車の中でコクリ/\。

[#1字下げ]二月二十四日(金曜)[#「二月二十四日(金曜)」は中見出し] 晴ならロケといふことで、あひにく晴れたから、十時起き。ロケ先は新宿の空地、バスの通るのを水町庸子と眺めるところ、此んなとこのロケは、ワイ/\人が集るからやり切れない。すむと小田急沿線梅ヶ丘ってとこへ向ふ。そろ/\春めいて来た、狂人女が病院から逃げ出して追っかけられてる。いや、これは撮影ではなく実況だ。雑木林の中、丘の上相当歩かされて、八カットほど進む。砧村へ引っ返し、夕食となる。六時半開始が、手間どって八時近くから始まる。そして、何とこれが夜あけ迄――二役のとこ、杉寛とのとこ、丸山とのかけ合ひ、すっかり終ったのは午前六時。

— posted by id at 09:19 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0444 sec.

http://ebook-my-home.com/