三月二日(木曜)

[#1字下げ]三月二日(木曜)[#「三月二日(木曜)」は中見出し] 十一時起き、旅へ出てゐると朝飯はうまい、東京から持参の味噌の味噌汁が、東京の時よりうまいのは可笑しい。柳永二郎・英太郎夫妻に、山田伸吉夫妻、それにクス子姐さんや堀井夫妻もあらはれ、麻雀やり始めたが、新派ルールで、何か名のある役以外はアガリ無しだから、しんから面白くはない。六時に急いで座へ。今日から五時開演。貸切明日迄三日間。大満員だが、貸切の客はピンと来ない。「金色」は手順よく行ったし、ヴァラエティもよかったが、長いのでカットを要す。本日午後四時三十五分内親王殿下御誕生、君ヶ代を客に立って貰って合唱、万才三唱。ハネは十一時二十分。竹川へ帰る。

[#1字下げ]三月三日(金曜)[#「三月三日(金曜)」は中見出し] 十一時頃起きる。女房と松竹座へ。「シカゴ」を見る、大仕掛の火事、スペクタクルとしては「ハリケーン」に劣るが、面白かった。南の浜作へ行き、食事、うまくなかった。座へ出る。今日迄が貸切で、ワッと大満員。十時半には終らないと叱られるさうで、芝居一体に走ることゝなる。「金色」サトウの荒尾が汗をかき熱演するほど安っぽく、品のないものになる。皆くさる。幕外の引込みは受ける。「春のサーカス」も先づよし。「従軍記」は、気は楽だが実がない。ハネて、山田伸吉の案内で、女房と三人で、八千代てふ安グリルへ行き、グランドホテルなるものを食ふ。帰ると面子が待ってゝ麻雀。

[#1字下げ]三月四日(土曜)[#「三月四日(土曜)」は中見出し] 喜多村緑郎・英太郎に山田伸吉・僕といふメムバーで、つひに夜あかしである。喜多村のおでこのイボを見乍ら、年のせいか辿々しいのも、好きな人だから腹も立たず、午前九時半頃迄やり、ヘタ/\と床についた。四時すぎに起きて座へ出る。今日から貸切でない、ほんとの客。びっしりと満員で、昨日迄の客よりはピンと来る。時間が長いので「金色」のカーテン前と貫一の家をカットする。サトウの荒尾はます/\くさくて弱る。ヴァラもカットし、「従軍記」は逆に、カーテン前の僕のモノログをふやして、ハネは十時半。竹川へ寄り、女房とかどやで食事。

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