三月二十三日(木曜)

[#1字下げ]三月二十三日(木曜)[#「三月二十三日(木曜)」は中見出し] 今日は嘉納先生の御馳走だ。長堀の大市といふ家へ。大きな牛肉屋、すきやき十何人で食べる。嘉納氏頗る機嫌よくて此処へのチップひょいと百円だったといふ。阪急デパートへのして、女の子等はスウェーターを買って貰って大喜び、大部屋に菓子十円買ふことなどあって、三時からけい古なので座へ出る。「百鬼園先生」の本読みから一二景立ち。入りは八分強位か。井口静波が来て一寸出ようと、「従軍記」のクリークの場で浪花節をやる。好きだな全く。ハネる頃、嘉納先生来り、サンボアへ行き、カメオなんて高級品をのみ、パオンから南の大久屋まで行く、大酔ひである。何うも実に嘉納先生には散財をかけた。「頬白先生」の評判がいゝやうだ、川口松太郎などもあれはいゝと言ふ、自分ではいゝのか悪いのか見当がつかない。

[#1字下げ]三月二十四日(金曜)[#「三月二十四日(金曜)」は中見出し] 昨夜あんまり厄介かけたからと、大久屋へまだ嘉納さんゐるので、礼を言ひに寄る、大機嫌で、一緒に座へ来て、稽古が済んだら天ぷら食ひに行かうぜ! と又居合せた座員大ぜいで、梅月へ出かける。鳥の挽肉を入れた赤出しが美味くて二杯やった。皆にきくと昨夜は僕珍しい程酔ってゐて、嘉納先生に「先生なんか芥である」などゝ言って恐かったさうだ、やれ/\。座の入り八分強位か。嘉納氏楽屋でグーグーねちまって起きないので、起して大久屋迄送り、やっとホッとする。堀井・花井・轟が遊びに来てゝ麻雀などした。然し、嘉納氏に千円貰ってゐる、有がたいやらこはいやら。

[#1字下げ]三月二十五日(土曜)[#「三月二十五日(土曜)」は中見出し] 二時から本読みなので、座へ出る。川口松太郎来り、「鶴八鶴次郎」の本読み。新派でやったまんまで、ちっとも可笑しくないのは弱った。漫才も出来てゐないし、いさゝか心配になる。アラスカへ、ポタージュのフレッシュトマトがうまくて三杯位平げる、此処の飯田が凝りすぎて素直なもの食はせなくて困る。入り八分強といふところ。芝居ももう倦き/\、早く済ませたい気持。ハネ十時十何分。堀井夫婦を誘って、南の浜作へ。鴨バタに丸吸、いかつくり、若竹に鯛茶。一緒に竹川へ帰り麻雀、これが夜あかしと相成り、午前九時近くヘタ/\とねたが、さてマチネーがあるので辛いのう。

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