三月二十六日(日曜)

[#1字下げ]三月二十六日(日曜)[#「三月二十六日(日曜)」は中見出し] 北野劇場千秋楽――大阪発。 千秋楽のマチネー。二時間位しか寝てゐないので起きるのゝ辛いことったら。座へ出ると、八分の入り、結局は十一月より一寸悪いだらうと思ふ。昼の「金色」から悪ふざけを始め、「従軍記」では、松平がお国訛の九州弁をやり舞台中大笑ひ、客はあんまり可笑しがらない。夜の部も入り八九分ってとこ。大いに走ったので九時半にハネちまふ。ステーションは、十一時の汽車の連中もゐて大賑か、十時三十八分のが遅れて着く、すぐ食堂へ、帰京の花柳章太郎と一時近く迄語る。芸の話ばかりで、よく/\の好き者。

[#1字下げ]三月二十七日(月曜)[#「三月二十七日(月曜)」は中見出し] 六時半に眼がさめる、花柳章太郎もう起きてゐた。熱海で下りる、伊豆山相模屋へ。久々で海を見た、陽がキラ/\気持がいゝ。千人風呂へ入る、丁度試験休みでジャリ多く、入浴してるのを見物されてクサる。朝めし、味噌汁三杯。九時から一時迄ねる。起きて喜多村緑郎夫妻を誘って、一休庵へ食事に行く。普茶料理、僕だけ二人前とって平げる。相模屋へ帰り入浴。葉書など諸方に書いて、九時に熱海ホテルへ、今度は喜多村氏の御馳走で食堂へ、パーラーで話し、十時すぎ相模屋へ帰って、又湯滝に打たれて寝る。

[#1字下げ]三月二十八日(火曜)[#「三月二十八日(火曜)」は中見出し] 海を見渡して風呂へ入り、味噌汁たっぷり飯を食ひ、十時半に宿を出る、一時五分東京駅着、文ビルへ急ぐ。皆集ってゐる。ハリキれといふこと、一座は僕の独裁だからそのつもりでゐろとヘンな訓辞を述べ、けい古に入る。「従軍記」の直しから「百鬼園」「鶴八」の順、途中一人で名物食堂へ行って天ぷらを食った。「鶴八鶴次郎」渡辺が例によって休み、ちっとも笑ひがないので弱る。川口の演出、三益つかまへてお前は/\で皆アテられる。有楽座へエノケンの千秋楽を見に行く。「エノケン誉の土俵入」だけ見る、ひどいものだが、客はとっても入り大喜びである。今朝へ寄り、牛肉たっぷり食って帰る。円タク中々なし、ハイヤー高し。

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