四月四日(火曜)

[#1字下げ]四月四日(火曜)[#「四月四日(火曜)」は中見出し] 十二時起き、東宝撮影所からの迎へが来てる。しょうがない、砧村へ出かける。鬘をつけ、衣裳をつけて、大名のニセものってわけ、清川虹子が京都へ行ってゝゐないから三益が出る、達者だから心配はない、四時迄に二カット済み。何ともつまらないものだ。後口の悪いこと。砧から有楽座へ。時間キチ/\なので食事の暇もなし、ふた葉へ親子を言って、「従軍記」の引込む度にパクつく。「百鬼園」今日はお社の招待なので、よくやらうと思ふのが反っていけなく出来が悪い。「鶴八鶴次郎」は普通に行った。漫才はよく笑ふ。ハネ十時二十分。生駒と関が来り、ルパンへ行き、飲む。生駒も関も「鶴次郎」を絶讃する。入り、今日も大満員。夜に入りて雪。 寒い、春とは思へない寒さである。ふと、「百鬼園先生」のやうな芝居は、寒いほど受けるのではあるまいかといふ気がして来た。ポカ/\して来ると、やりにくゝなるのではあるまいか。芝居と寒暖の関係は、あると思ふ。

[#1字下げ]四月五日(水曜)[#「四月五日(水曜)」は中見出し] 雪が積ってゐる、四月の陽気ではない、寒い/\。寺木定芳ドクトルから手紙で、今度の有楽座はすばらしかった、「百鬼園」が殊にいゝと言って来た。入りばかりでなく、今回は内容的にも成功らしい。四時半に出る、寒いし雨なので何うかと思ったが、入りは満点。「ロッパ従軍記」は、やればやる程つまらなくなって来る。「百鬼園」は、自信がついたのでやりよくなったが、今日の客はあまりよからず。御影の嘉納氏から稲荷祭のお供物を沢山送って来た、配る。「春のワルツ」のバナゝは今日が一ばん乗れた。「鶴八」の漫才少々ダレた感じ。でもよく笑ひよく受ける、ハネ十時十五分頃。

[#1字下げ]四月六日(木曜)[#「四月六日(木曜)」は中見出し] 十二時半に出て、銀座の小松理髪店へ行く。英太郎が白毛染をやってるのにぶつかる。三時、日比谷の公会堂へ、ウテナの会で一席。藤山一郎が伴奏ピアノを買って出る。丸善へ行き、パイプを買ふ。名物食堂へ行って、天ぷら。座へ出ると今日も満員、補助少々残る程度。岡ビクターより笹巻すし沢山来る。「従軍記」クサリ。「百鬼園」先づ安心。「春のワルツ」終ると、公会堂のウテナの会へ、五六分喋り、すぐ引返して「鶴八」。漫才が兎角長くなる。ハネ十時十五分。築地きん楽へ、岡・川口と。藤山一郎よりビクター復帰のことをたのまれてゐるので岡に頼む。

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