四月十日(月曜)

[#1字下げ]四月十日(月曜)[#「四月十日(月曜)」は中見出し] 十一時出かける。那波氏と樋口を東宝ビルに迎へ、日本橋のすき焼井上へ久しぶりで行く。オイル焼を大分食べ、すき焼で飯を食った。東宝へ帝劇が入ってからの企画など、小林老は常に新しいプランを出す。いろ/\時間潰しに苦労して四時すぎに楽屋入り。入りは、補助席がかなり出てるのに、二円席の後方が空席あり。「従軍記」今になってカットの個所二三通達あり。漫才の「忘れちゃ嫌よ」も明日より訂正することにする。「百鬼園」幕切れのイキが昨日から出なく、手とれず。漫才相変ずよく笑ふ。滝村「忠臣蔵」の出演料持参、女房迎へに来り、伊東章を連れて支那グリル一番へ、たら腹食って帰宅。

[#1字下げ]四月十一日(火曜)[#「四月十一日(火曜)」は中見出し] 天気漸く春らしい。あまり桜がきれいなので、九段を廻り、半蔵門迄の桜を見る。ガスビルの永田将紀と会ひ、天八といふのへ入り天ぷらを食べる、天汁がくどい、僕には安いハゲ天の方がいゝ。五時に座へ入る。空席あり、何ういふものか。「百鬼園」と「鶴八」がツイちまったのか。受けるには受けるが、爆笑が少い。トリに歌の無いのがいけないのかも知れない。色々考へる。「鶴八」の漫才、今日も「忘れちゃ」をやり、明日より「愛馬進軍歌」にする。ハネは十時十五分。上森と会ふ約束、築地とき本へ行き、柳のことに関して一切を話す、上森引き受けると言って呉れた。安心して飲み、酔った。

[#1字下げ]四月十二日(水曜)[#「四月十二日(水曜)」は中見出し] 九時半に眼がさめる、昨日のまゝでは気がゝりなので、築地のとき本へ、上森のねてる間に行き、昨夜の話のつづきをする、上森が俺に任せておけと言ふ。浅草へ行ってみる。笑の王国の口上とヴァラエティ「歌の浮世絵」を半分ばかり見る。貴島のもので、ひどいものではあるが参考になることあり。公園を生駒と歩く、花に浮かれて大分人は出てるが、小屋へ入らず、景気はよくないさうだ。広養軒でハヤシライスなど食ひ、座へ出る。入り九分か。弱ったもの。「従軍記」の暗転で道具が倒れ、モロに向ふづねを打つ。ハネ十時十分。上森来り、とき本へ僕と柳を連れて行って、話すこと数刻。柳、一切悪かったから許して呉れとのみ。上森に一任し、柳をやめさせるか何うか今月末迄答を保留して貰ふ。あんまりだらしなく謝るので又嫌である。

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