四月十六日(日曜)

[#1字下げ]四月十六日(日曜)[#「四月十六日(日曜)」は中見出し] 十時起き、高槻の車がないのでハイヤーで出る。座は、昼の部大満員である。一体に急行といふことでサッサと運ぶ。柳はしょげ切ったやうな顔して出て来てる、可哀さうだと思はせたいらしい、見ないことにする。昼の終りが四時半、やれ小一時間休めると思ったら、土屋伍一が身の上相談に来ちまひ、ふた葉の親子を食ひ、ミルクコーヒーのむともう夜の部。「従軍記」つぐ/″\[#「つぐ/″\」はママ]いやだ。大道具がやかましいので又一怒りする、小さい舞台と無理のあることは分るが、如何にも操作が拙劣なのだ。市丸・徳山見物、「鶴八」が今夜あたり一ばん受けてゐる。ハネが十時。ナロー会で築地きん楽へ、子爵連の珍評をきゝ、二時すぎ帰宅。 五月は撮影と定ったが、月初め五六日は休みになる、伊豆山の湯滝を楽しむ気だ、今から色々な本を買ひ蒐めておいて、波の音きゝ乍ら、ゆっくり読まう、楽しみだ。六月は、日劇へ月初めに出て、あと半分旅に出、七月が大阪、八月有楽座である。

[#1字下げ]四月十七日(月曜)[#「四月十七日(月曜)」は中見出し] 二時から試写があるので、出かける。八重洲口のワーナー・ナショナル。写真はワーナーの「四人姉妹」[#横組み]“FOUR SISTERS”[#横組み終わり]といふもの、いやはや此のつまらなさには呆れ返った。近くの喫茶店の二階で「映画之友」のための合評会。宇野浩二・丹羽文雄・徳川・松井苦心して賞めようと思ふのだが、うまく賞められっこなし。座へ出る。八分強といふところ。客席の活気がない。「従軍記」くさり、「百鬼園」出来よし、「鶴八」も走って、ハネは十時。ホテルグリルで吉本の林弘高に会ひ、あきれたぼういずの件、その他色々の話。下谷の新梶へ寄り、飲み、合の子弁当食って帰る。

[#1字下げ]四月十八日(火曜)[#「四月十八日(火曜)」は中見出し] 十二時半に出て、母上・道子と帝劇へ、リスキン=キャプラの「我が家の楽園」を見に行く。しまひから見て元へ戻ったので、大分興が殺がれたが、何ともスマートで感心した。出ると、車が無いからテク/\歩いて汗かきつゝ――然し之もいゝことだな――天八へ行く、天ぷら頻りに食ふ。又テクで座へ。今日は八の日であるせいか大満員だ、が、客の活気が感じられない。「百鬼園」は一方絶讃されるだけに一方不安あり。ハネ十時。ホテルのグリルで柳と会ひ、利巧に別れようと言ふ、本人も分り、では病欠といふことにさして下さい、と言ふ。ルパンへ、屋井と会ふ、飲みである。

— posted by id at 09:28 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 1.9903 sec.

http://ebook-my-home.com/