四月二十八日(金曜)

[#1字下げ]四月二十八日(金曜)[#「四月二十八日(金曜)」は中見出し] 赤坂の加藤の紹介の洋服屋来り、寸法とる。夏服。高くなったのには驚く。高槻来る、うんと油を絞る。高橋姉来る。女房と三人で出かけ、銀座劇場へ入り松竹の「心の太陽」を見た。中々いゝし、役者がうまいのに驚いた。四時、ニューグランドで母上を待ち合せ、食事。それから座へ。三益が出られぬとの報せがあったので、花井に鶴八をやらせることゝし、「鶴八」を三に、「春のワルツ」をトリに据える。入りは八分弱。「鶴八」漫才がまるで僕の一人喋り、花井、恥かしがってるからまるで駄目。あとの芝居も三益とは比較にならず、くたびれた/\。十時二十分前ハネ。お多幸へ行く、上山・堀井と、おでん茶めし。帰宅十一時すぎ。 三益に休まれたので「鶴八鶴次郎」は、めちゃくちゃになった。こういふことがあるから、うっかり女にいゝ役をやらせられない、つまり女の出しものてのは考へものだ。つく/″\今日は困った。

[#1字下げ]四月二十九日(土曜)[#「四月二十九日(土曜)」は中見出し] 天長節のマチネー。十一時に出る。月末迄打続けることを宣伝してないから、昼のひどさは、目も当てられない。五分である。「鶴八」は、三益休演と定ってるので気が抜ける。花井には全く弱り。ホテ・グリへ行き、ミニツステーキを食ふ。夜の部、八分強の入り。もう何十回目故、ダレにダレてゐる。吉岡勇が、ヘンな雑誌記者を連れて来り、酒気を帯びてゐて、とても無礼、大怒り。ところへ又、土屋伍一が来り、金を貸せと言ふ、あんまり図々しいからもう知らんと怒る。ハネは、十時二十分前。コロムビアの服部良一を奢り返す、松平晃同席、ロンシャン・バーから浅草迄のして飲み。

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