五月七日(日曜)

[#1字下げ]五月七日(日曜)[#「五月七日(日曜)」は中見出し] そろ/\宿の朝飯が我慢出来なくなる。一時何分の汽車で、女房と三島へ。女房の伯父の墓参りをつきあふ。田代グリルといふとこで洋食二皿ばかり食って、熱海へ引返す。熱海宝塚劇場へ行く。去年見たキャプラの「失はれた地平線」と、東宝渡辺邦男の「裸の教科書」を見る、渡辺邦男てのは兎も角商売人だ。それから又一休庵へ行く。普茶料理も一昨日の今日では一向うまくなかった。宿へ帰る。入浴、湯滝のみ、いゝ心持。「支那劇物語」といふのを読み出す、変ってゐて面白い。 ガソリン統制以来、自動車の運ちゃんのキゲンの悪いことは東京でもさうだが、三島あたりでも、まるで乗せるだけ損みたいにプン/\してゐる。昭和十四年度の奇現象らしい。何年間此ういふ現象が続くものか。つひ去年迄、うるさくつきまとって乗車をすゝめた円タクが、逆に客を振り、バット進呈のオマケ迄して運ちゃんに呼びかけてゐたガソリン屋が、運ちゃんを振る。主客テン倒風景。

[#1字下げ]五月八日(月曜)[#「五月八日(月曜)」は中見出し] 帰京。 九時起き、入湯、名残りの湯滝を浴びる。熱海発十一時三十二分。車中、「支那劇物語」を読む。東京駅一時四十分、文芸ビルへ行く。二時、座員総員集まる。今まで何もかも人任せで仕事に身を入れなかったことを詫び、柳にコビヘツラッタ人々に今後を誡め、その他色々話す。それから東宝グリルで、応召の文芸部太田恒三郎の壮行会をやり、又文ビルへ。東宝映画から斎藤寅次郎来り「ロッパの子守唄」(仮題)の本読み、読み手がないので自分で読む。青年部の会が今朝で開かれ、出席する。人数は少い。然し不良分子が無くなり、気分はよくなった。上森ととき本へ行く。ねむくなり、ろくに飲まず、ダレた。

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