五月九日(火曜)

[#1字下げ]五月九日(火曜)[#「五月九日(火曜)」は中見出し] 十一時すぎに斎藤寅次郎、小国英雄来り、打合せ、「ロッパの子守唄」と題は決定、明日ロケに立ち、二十何日かにアガるやうにするといふ。東宝本社へ、那波・秦・大阪の寺本もゐた。川口から三益を七月休ませてくれと勝手を言って来た。それでは出来上ったプランがめちゃになる故、七月は出ることに諾させる。森岩雄そこへ来合せ、チャプリンのための原稿を渡した。七時ルパンで中野実に会ふ。毬栗頭、先づニューグランドへ行き、中野式梯子で、ルパン、ロンシャン、ルーウエ、サロン春、ヒュッテと歩いて、赤坂寺田へ落ちつく。中野ノビてしまふ。置いて帰ったのがもう三時半なり。あきれたぼういずの残れる一人川田義雄に会った。 中野実に広東の話をきく、その中で支那ってとこには水がないときいてゾッとした。水は濁った黄色い液体ださうだ、僕の如く水を呼吸するやうに飲む者は到底やりきれたものではあるまい。水をのむ度、感謝しなければならないと思ふ。

[#1字下げ]五月十日(水曜)[#「五月十日(水曜)」は中見出し] 富士大宮へロケ出発。 十一時起き、あきれたぼういずの坊屋三郎から、うちの加川を引抜いた詫手紙が来たので、その返事、そんな事はいゝから勉強々々の事と。三時何分の汽車でロケーションに出発といふことで二時に東京駅へ、丸ビルで缶詰を買ひ、荘司の地下室で鈴木静一と打ち合せし、富士大宮町へ向ふ。六時に富士駅着、ハイヤで富士大宮って町の、橋本屋といふ宿へ落ちつく。大広間でお寒き食事、さて――雨になったが、いやんなっちまふなあ。スタッフの連中と麻雀を二荘ばかりやる。いやな宿屋で寝心地は悪い。

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