六月二日(金曜)

[#1字下げ]六月二日(金曜)[#「六月二日(金曜)」は中見出し] 早く眼がさめて困る、九時に起きる。十二時、ビクターへ行く。菊田一夫作・鈴木静一曲の「宵暗せまれば」といふ、夜店風景といったもの、つまらなくもないが、何せ古い。川田義雄が来り、身上相談、色々考へてやることにした。四時に歌舞伎座へ。羽左と菊で、「河内山」その他、二階正面から見たが、舞台がだゞっ広いので一向しまらず、「河内山」も羽左老いたりの感。六代目の怪談物「宵宮雨」パッとしない。十一時近くなったので踊りを残して帰宅。

[#1字下げ]六月三日(土曜)[#「六月三日(土曜)」は中見出し] どうも早起きになり困る。一時、文ビルへ。「夏の日」から。手馴れてゐるから手数かゝらず、石田が二枚目に廻ったが、勝手違ひらし。次、「大久保」ひどい本だ、ふざけてこはすべきもの。それから「自叙伝」三益の代役高杉が、わりによさゝうなので安心する。ダットサンを借りたニッサンの新井といふ人を、ホテルのグリルへ招き、夕食をする。トマトクリーム、コールド・ラブスターに、チーズソフレー、アスパラガス。それから浅草の花月へ、吉本ショウの中、川田とミルクブラザースの第一回公演を見る、スマートすぎるが、頭がいゝので賞め、川田に色々アイデアをさづける。

[#1字下げ]六月四日(日曜)[#「六月四日(日曜)」は中見出し] 十時起き、稽古場へ。「大久保」から。例によって渡辺篤が病気だと言って休み。づるくて困る。三時から「自叙伝」を立つ。いゝ加減切り上げて東劇へ。新派だが、結局つまらなかった。食堂へ行くと、注文しといたのに、出来ないと言ふんですっかり腹が立つ。東宝系は、これよりひどいさうだ。幕間に楽屋へ行き、喜多村の部屋をのぞく。英は一役でアガって帰っちまってゐた。帰りに大辻のしるこやへ寄り、栗ぜんざいとざうにを食って十一時帰宅。

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