六月五日(月曜)

[#1字下げ]六月五日(月曜)[#「六月五日(月曜)」は中見出し] 十二時に迎へ来り、早稲田の中野の家へ寄り、七月「夏とダンディー」をやることを断はった。東宝ビルへ。那波・秦・山本、食堂にゐる。そこへ森岩雄氏も来り、森氏にチャップリンの事は一任する。九月以後のスケジュールにつき、森・那波と相談。今年中に、もう二本映画といふことになる。塩瀬のコーヒー店で、南部僑一郎と会ひ、八月有楽座の記念パンフレット編輯をたのむ。山野一郎来り、八月のこと頼まれる。それから銀座へ出て、松島屋眼鏡店で、ロイド眼鏡二つ慥[#「慥」に「ママ」の注記]へた。約束なので橘のとこへ。麻雀。又、魔の如く負ける、一万以上。その不快さったらない。十二時半帰宅。

[#1字下げ]六月六日(火曜)[#「六月六日(火曜)」は中見出し] 名古屋へ出発。 階下で加藤伯父上らしき咳払ひがきこえて眼がさめる、伯父上、やもめ暮しの淋しさの朝散歩。十二時前に家を出る。銀座へ廻って、大徳でカン/\帽を買ふ。一円也は安い、これですっかり夏気分。一時のかもめへ乗る。乗ってすぐ食堂へ、同車の渡辺・山伸に女優三人で食事。セリフを入れてると眠くなり、海老になって寝たり、谷崎精二の「都市風景」を読んだり、名古屋着六時半、なか川旅館へ、宿で一風呂浴びると、朝日ビルのすしやですしを食ひ、名宝でダニエル・ダリウの「暁に帰る」を見て、香楽といふとり屋へ、宿へ帰って麻雀、堀井・山伸で四時近く迄。

[#1字下げ]六月七日(水曜)[#「六月七日(水曜)」は中見出し] 名宝舞台稽古。 十時起き、なか川旅館の朝めし、岡崎の八丁味噌の汁、どんよりドス黒い。十二時にアラスカへ、名古屋の記者五名ばかり、渡辺・菊田同席させ、先日脱退説のありしは大デマなりと発表。アラスカの昼めし、わりにいゝ。又、チーフが変ったかな。座へ出る、十二時から「太平洋行進曲」、菊田の幼稚なセンチメンタリズム、見るにたへんもの。「夏の日の恋」を三時頃からかゝり、次に「大久保」これでもう九時になる。朝日ビル地下の天ぷらを食ひに行く、海老と、芋や葱をふんだんに食はせるとこが気に入った。それから「自叙伝」これが午前四時迄。莨のんじゃあ歌ったりどなったりで、咽喉の具合がいけなくなった。四時半に宿へ帰り、クタ/\と寝る。

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